立命館アジア太平洋大学(APU)に来てから、学長である出口治明さんの著書をよりたくさん読むようになりました。
APUの生協には出口学長の本がたくさん販売されていて、こちらで初めて購入したのは『明治維新とは何だったのかー世界史から考える』です。
有名な『幕末史』の著書、半藤一利さんと出口治明さんの対談という形式でしたが、今までのぼくの歴史観をすっかり変えてくれました。
そして、自分の生き方についても深く考えさせてくれました。すごく良い本に出会えて嬉しい!
目次
いつもオープンな人間でいたいと思った
この本の中で、一番心に残った部分はこれです。
世界の国々に対してオープンな姿勢でいなければ、情報が入ってこない。情報がなければ、リアリズムも失われるんですよ。実際に世界に出ていかず、部屋の中にこもって考えているだけだと、現実離れした妄想が膨らむじゃないですか。(中略)社会をオープンに開いておかないと、重要な意思決定に不可欠の生きた情報が入らなくなると思うんですよ。(P.226)
本の最後の最後に出てくる言葉なんですが、日露戦争後から日本が孤立して、第二次世界大戦に突入していくときの状況を説明している部分です。
世界にそっぽを向いて、情報が入ってこなくなってから、日本はまともな判断ができなくなってきたんです。
これ、いまを生きるぼくにも当てはまると感じました。
ぼくはいま40歳。そろそろ世界観とかモノの見方が固まってきそうで怖いんです。自分の偏った知識に胡座をかいて、成長しなくなっちゃうんじゃないかと、いつも気をつけてます。
やはり、自分の心をいつでも開いておかないと、世界から取り残されてしまうんですね。
APUで留学生と一緒に学んでいると、なんて世界は広いのか、目が醒める思いです。
文化が異なる人たちと話せば話すほど、どんどん自分の世界が崩れて、新しい世界が広がっています。
もっと吸収したい。もっと大きな人間になりたい。その手がかりをもらった気がします。
APUでこの本を読めて良かった…!
半藤さん・出口さんのフラットな人物評が面白い
本の中身を少しだけ触れると、この対談では、半藤さん・出口さんとも非常にフラットに幕末を俯瞰しています。
明治維新の最大の功労者は、坂本龍馬でも西郷隆盛でも、大久保利通でもないんです。
ペリー提督が日本に来た当時の老中首座、阿部正弘を推しています。
当時の日本と世界の状況を冷静に正しく分析できて、「開国・富国・強兵」という大きな構想を描くことができた。そして、日本はどうするべきなのか、広く日本中から意見を集めようともしました(早死にしてリーダーがいなくなり、ここから混迷期を迎えるんですが)。
明治維新は他の人物たちによって実現されましたが、阿部正弘の構想が土台となっていたそうです。でも、歴史の教科書には阿部正弘なんかほとんど出てこなかった。歴史は勝者が作るものなので、幕府側の人間の評価はあまりされなかったんでしょう。
半藤さんや出口さんは、とっても冷静に人物評価をしており、阿部正弘の分析力と構想力をとても高く評価しています。
さまざまな文献を読み、いろんな観点から見ているので、すごく中立的ですね。
ぼくは司馬遼太郎が好きですが、司馬さんの視点だけではなく、もっといろんな本を読んで視野を広く持ちたいと思います!
まとめ
APUで読んだからこそ、意味があった気がします。そう思うと、すごいご縁だな…。
半藤一利さんの、『幕末史』もこれから読んでみる予定です。