沖縄でもっとも有名な方言の一つに「なんくるないさ」があります。
沖縄を舞台にしたドラマなんかで、しわくちゃの優しいおばあちゃんが、子どもに「なんくるないさー」って言うシーンとか、目に浮かびますよね。
「なんくるないさ」って、「なんとかなるよ」っていう意味だと思っていたのですが、実はもう少し深い意味があるんです。
それを理解するには、沖縄の歴史(琉球歴史)をしっかり学ぶ必要があるんです。
先日の沖縄出張で、ある友人から聞いた話を紹介します。
目次
沖縄の方言『なんくるないさ』の正しい意味を知っていますか?
その友人は、関東からアイターンをして沖縄で仕事をしています。地元の人と仕事をすることがとても多いらしいのですが、最初はなかなか心を開いてくれなくて悩んだそうです。
そのうちに、知らない土地で仕事をするなら歴史をしっかり学ぶ必要があり、そうしないと地元の人が心を開いてくれないと悟ったんだとか。それから、必死で沖縄の歴史を勉強したそうです。
そんな話のなかで、「『なんくるないさ』の本当の意味ってご存じですか?」と聞かれたんです。
「え?『なんとかなるさ』みたいなイメージですよね?」
「いや、違うんです。実はこれは、沖縄の歴史をしっかり学んでいないとわからないことなんです…。」
そこから、とっても分かりやすく沖縄の歴史を語ってくれました。ぼくが思っていた『なんくるないさ』のイメージがガラリと変わったんです。
『なんくるないさ』の本当の意味
この新聞記事がとても分かりやすく解説しています。
『なんくるないさ』の前にくる別の言葉があって、本来は『まくとぅそーけーなんくるないさ』というんです。
人として「まくとぅそーけ=正しい事、真(誠)の事をすれば」「なんくるないさ=何とかなるさ」を意味する。「挫(くじ)けずに正しい道を歩むべく努力すれば、いつか良い日が来る」という意味である。単に「何とかなる」と言う楽観的見通しを意味する言葉ではない。
そう、ちょっと重たい意味合いになりますよね。この背景を知るには、沖縄の歴史を紐解いてみる必要があります。
今まで学んできたのと違う、琉球の歴史
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沖縄の歴史がざっくりと理解できます。漫画なのでとっつきやすいので、オススメです!
簡単にまとめると、1429年に統一王朝ができたけど、地理的な条件からお隣の大国、中国に寄り添っていた琉球王国。
それが、徳川幕府ができた頃から、薩摩藩(今の鹿児島県)から干渉され始めます。薩摩藩の属国のような立場になってしまったんです。琉球王国という体制は維持していたけど、薩摩藩に年貢を納めたりしなければならなかった。
でも、中国に属国になったことがばれると戦争になってしまう。それを恐れた琉球王国は、「両属」と言って、どちらにもへり下って属国として振舞わざるをえなくなりました。とても特殊な成り立ちだったんですね。
そして、明治維新の時に突然、琉球王国は沖縄県にされてしまいます。琉球王国はなくなってしまい、日本の一部になるのです。
日本の一部となってからは、政策もあって積極的に「日本人に近づく努力」をさせられます。先日出会った高齢のガイドさんからは、小学校で標準語を使わなければならず、うっかり沖縄の言葉で話せば、罰として首から札をぶら下げられたそうです。札には、『私は沖縄の言葉を話してしまいました』と書かれていたのだとか。
その後昭和に入り太平洋戦争が勃発、沖縄が地上戦の舞台となり、数々の悲劇が生まれます。終戦後には、アメリカの統治下に置かれてしまうのです。
時代の流れに振り回され、苦労させられてきた琉球。そんな環境の中、いつしか『まくとぅそーけーなんくるないさ』の言葉が生まれたんです。
「正しいことをしていれば、いつかはなんとかなるさ」。
そんな風に思いながら、人生を送っていたんでしょうね。
ここまで背景を理解すれば、「なんくるないさ」がリアルに感じることができますね。
さいごに
忘れないうちに、ブログに残しておこうと思ったお話でした。仕事柄いろんな街に行きますが、表面的なものよりも深い繋がりを見つけたいと日々感じているぼく。
現地に行かなければ出会えない知識や歴史を知って、できるだけ深くその土地を感じたいですね。