お笑い芸人であり、小説「火花」が大ベストセラーとなった又吉直樹さんが書いた新書を読みました。
又吉さんって、ほんとに深く深く物事を考えてる人で、そんなひとが『なぜ本を読むのか?』が知りたくなったんです。
さっそく紹介しましょう!
目次
夜を乗り越える(又吉直樹著) – 本を『おもしろく読む』ススメ 【レゾナンスリーディング】
本から得た共感、悟り。固有の感覚を大事にしよう
又吉さんは、小学校時代にとっても悩んでいたそうです。
『人間が怖い』という感覚を持っていて、ずっと頭の中で悩み抜いてきた。
家族に相談しても解決するわけでもありません。
それが、中学校で芥川龍之介の『トロッコ』や、太宰治の『人間失格』に出会ったことが、大きな変化となります。
「この主人公、めっちゃ頭の中でしゃべっている。俺と同じくらいしゃべっている」P29
本の中の主人公が、自分と同じように世の中に対する葛藤で悩んでいる。
ああ、みんなひとりで考えて、悩んで、行動しているんだ。
と、共感や悟りを本から得られるようになった。
本と対話することで、他人や自分自身とのつきあい方を知っていったのです。
これが、又吉さんが得た固有の感覚です。
自分は世界の一つであって、すべてではない。世界には無数の視点が存在している。その中から自分の答えを見つければいい。 P139
別のひとが読んだなら、また別の感想が現れてくる。100人いたら、100通りの固有の感覚。
それで良いんです。それこそを大事にしましょう。
又吉流 本の読み方 『おもしろく読む』
とっても共感した部分は、『本をおもしろく読む』という視点です。
本を読むときに、自分の価値観や問いをぶつけて読んでいく。
本の内容 + 自分の読み方 = 総合点(自分の解釈)
となって、自分だけの結論が出てくる。
それが『おもしろく読む』ということなんです。
『どんなことが書かれていたか』に加えて、『それを読んでどんなことを感じたか?』が混ざってくると、その本と共鳴したってことになるのでしょう。
自分だけの視点を探す旅へのお手伝い
そもそも、社会には完璧な答えなんてないわけで。
この世にはあらゆる可能性があるんだよ、ってことが、本を読んでいるとわかってくる。
いろんな可能性の中で、自分は何を良しとするのか?
本を読むことは、無数の星屑の中から自分がこれだ、と感じたものをつかみとる。
自分だけの視点を見つけるためのトレーニングなんですね。
おまけ – ブックリストに興味をそそられる!
この本の中で、又吉さんはいろんな本を紹介しています。
太宰治、夏目漱石、三島由紀夫、遠藤周作などの往年の作品から、西加奈子、中村文則などの現代作家まで、多岐に渡ります。
太宰治とか、昔の小説はとっつきにくいイメージがあったんですが、又吉さんのおもしろいエピソード付きで紹介されているので、すぐに読んでみたい気持ちになりますよ。
やっぱり天才なのかなぁ。
お笑い芸人というより、文化人というほうが正しいのかもしれない。
オススメします!