ぼくの得意なことに、司会やスピーチがあります。結婚式二次会や、会社のレセプションで司会したり、お祝いのスピーチも何度か。人前で話すことが大好きなんです。
大学時代にアメリカ留学したときに、アメリカ人に混じってスピーチの授業受けてました。徹夜でスピーチの準備したりしてたなぁ…。
さて、会社の同僚から、ある小説を紹介されたんです。こんな風に。
「読んでみたら、なんかスピーチの勉強になったって言うか…。人前で話すことがテーマの小説なんです。」
速攻で買って、2日で読んでしまいました…!
著者の原田マハさんの存在を全く知らなかったんですが、素晴らしいスピーチが、どんな風に人を幸せにするのかが描かれています。
目次
【読書】「本日は、お日柄もよく」原田マハ著 – 言葉が持つ力を気づかせてくれる小説
あらすじ
OL二ノ宮こと葉は、思いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライターの久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてししまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。(本日は、お日柄もよく 背表紙より)
言葉が持つ力=言霊の素晴らしさ
この小説には、いくつかスピーチの場面が出てきます。それを読むと、自分がその場所にいて、スピーチを聞いているような感覚になりました。文字を読んでいるだけでも、心が揺さぶられたんです。
言葉が持つ力=言霊、ですね。ぼくはこんな風に気持ちを込めて言葉を使うことが、この頃はできていないことに気づきました。
もっと自分の思いを言葉に乗せて、発信していきたいです。
自分の言葉で伝えること
物語に登場する伝説のスピーチライターなんですが、依頼人から頼まれてもスピーチの全文は書かないんです。
すべて自分で書かせます。
そのかわり、たっぷりと時間を取って依頼人と向き合って、その人らしさを理解しようと努めるんです。
そうやって、その人らしさを表現したスピーチにしていくんです。
偉そうなことを言う必要はないし、小難しい言い回しを使うことも必要ない。自分が選んだ言葉を使って。
自分で選んだ言葉こそが、多くの人の心に届く言葉になるんです。
自分にしか話せないエピソード
スピーチの場面を読んでいると、必ず出てきたのがエピソードです。エピソードを語ることで、伝えたいことがより具体的になり、相手の心に響くんです。
読んでいたら、10年くらい前にぼくが友人の結婚式で話したスピーチを思い出しました。
ぼくは最初、こんなことが言いたかったんです。
彼女はとっても献身的で、人のことを第一に考える女性です。
献身的な人だ、と印象つけたかったんですが、漠然としているのでこんなエピソードを付け加えました。
結婚披露宴の1時間前に、彼女からメールが来たんです。『この会場はとても迷いやすいから、必ずエレベーターに乗って7階まで来てね。エレベーター降りたら左に受付があるからね。』披露宴の直前に、花嫁からこんなメールが届くなんて初めての経験でした。披露宴の準備で忙しく、緊張しているはずなのに、わざわざメールをくれたんです。自分の事はほっといて他人のために、つい行動していまう彼女。すごく献身的だと思いませんか?
こんな風にエピソードを入れるだけで、聴き手にイキイキとしたイメージが立ち上がってくる。
エピソード、大事ですよね。
まとめ
スピーチをしなきゃいけなくなって、嫌だなぁと思っている人にこそ、ぜひ読んでほしい小説です。
そして、言葉が持つ力の素晴らしさを感じられた物語でした。
読んだあと、なぜかスカッとした気分になりますよ。