先日の『ファシリテーション基礎講座』を受講して気づいたことをシェアします。
それは、リーダーには『とぼける技術』が必要なんじゃないか?ということです。
どういうことか、ちょっと探ってみたいと思います。
目次
部下の自主性を高める「とぼける技術」
リーダーはなんでも知っているという落とし穴
日本企業の多くは、平社員から昇格してリーダーになっている人が多数派でしょう。
もちろん、チームの業務内容に最も精通しているはずで、全体を把握しながら素早く意思決定できるわけです。それが上層部の期待でもあります。
したがって、こんなやり取りが多いのではないでしょうか。
メンバー「ちょっとご相談がありまして…。」
リーダー「うん?どうしたの?」
メンバー「A社で営業のクロージングをかけたら、B社とのコンペもあるかもって言われてしまいまして…。今まではこんなことなかったんですが…。」
リーダー(ああ、B社の担当者は確か、他社の存在をチラつかせて値切るタイプだったな。でもそれは方便で、メリットをちゃんと説明すればすぐに決済してくれる人だ)
リーダー「あ、それはこちらが説明不足だからだよ。もう一度あちらのメリットを伝えてあげれば大丈夫。再度訪問して!」
メンバー「はい、承知しました。」
リーダーの持つ幅広い知識をもってすれば、解決策をすぐに授けることができますよね。
でもここで一つの疑問が生まれます。
このプロセスは、メンバーを育てることにつながっているのか?ということ。
メンバーが早く答えを欲しがっているのは当然です。でも、これを続けていては意思決定する思考が身につかないですよね。
間違っていても、『○○だから、自分は▲▲したい』というところまで考えてもらう必要があります。
答えを早く出してあげることが、メンバーのためになるわけではないんです。
答えが分かっていても、あえて自分で考えてもらうために「とぼける」
じゃあ、どうすれば良いのか?
傾聴のスキルに加えて、とぼける技術を使えばこうなります。
メンバー「ちょっとご相談がありまして…。」
リーダー「うん?どうしたの?」
メンバー「A社で営業のクロージングをかけたら、B社とのコンペもあるかもって言われてしまいまして…。今まではこんなことなかったんですが…。」
リーダー(ああ、B社の担当者は確か、他社の存在をチラつかせて値切るタイプだったな。でもそれは方便で、メリットをちゃんと説明すればすぐに決済してくれる人だ…。でも、ここは口に出さずに…)
リーダー「B社とのコンペもある…、かぁ。」
メンバー「そうなんです。ちょっとどうしたものかな…、と。」
リーダー「そうだねー。どうしたら良いかなぁ…。何か考えてるのかな?」
メンバー「とりあえず、新しい見積もりを出そうかな、と。」
リーダー「ああ、もう見積もり作る段取りまでしてるんだねぇ…。ちなみに、こちらの商品についてはどのくらい理解してくれてるんだろう?何回くらいご説明したの?」
メンバー「あ…。まだ一回ですね。基本スペックと価格を。」
リーダー「そうかぁ。それだと、他社さんの商品との違いとか、うちの商品を使うメリットとかは…。」
メンバー「あ、いや、理解はまだまだだと思います。実は、そこの段階まで行く前に時間切れになっちゃって…。そこをしっかりフォローしないといけないですね。」
リーダー「じゃあ、もう一回詳しい説明と、メリット感を訴求しにいくって感じかな?」
メンバー「はい!そうします。アポイント取りますね!」
メンバーの、考えるプロセスに寄り添ってあげる
ちょっと不自然な会話かもしれないですが、言いたいのは結局こういうことです。
答えを持っていても、安易に与えない。
メンバーの考えるプロセスに寄り添ってあげることで、リーダーが想定している答えと同じになるように、導いてあげる。
ちょっといやらしく聞こえるかもしれないけど、こうすれば自ら選んだ結論のようになりますね。自分で決めたことなら、納得感を持って次の行動に移せるわけで。
注意点としては、わざとらしくならないこと。わざとらしくなると、イヤミに聞こえてしまうので。
あくまでも、自然体でとぼけましょう!
まとめ
指示、命令は誰でもできることです。
たまには、答えを出すのをグッとこらえて、とぼけてみませんか?
そうすれば、自分で考えてもらう習慣がつくし、メンバーとのコミュニケーションの質が高まりますよ!